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フランス農協組織と香料原料調達に関する長期契約を締結

 今年(2020年)創業100年を迎えた高砂香料工業(代表取締役社長:桝村聡)は、かねてから調合香料ビジネスを支える天然香料素材の栽培採油事業に、国内外で取り組んでまいりました。

 当社は2020年7月2日、フランスの農協組織Cooperative Corporation of Perfume Plants of Provence (SCA3P)と、ラバンディン グロッソ オイルに関して、業界で先駆けとなる長期契約の締結に至りました。この契約は、植物のライフサイクルを考慮し、栽培精油を持続的に安定価格で購入することを目的としています。香料植物の中でも代表的なラバンディン グロッソに関しての今回の長期契約は、これまでに例の無い独自なものと言えます。


市場の不安定性の抑制によるサプライチェーンの保全 


 南仏プロバンス地方の代表的な植物であるラバンディン グロッソは、ラベンダー様の芳香を持ち、そのオイルは香水をはじめ、香粧品、ボディケア、ホームケア商品向けに幅広く用いられる香料素材です。ラバンディン グロッソはそのほとんどがフランスで栽培されており、代替がきかない原料といわれています。ここ数年は需給バランスの乱れにより、不安定な市況が続いていました。当社の狙いは、数量及び価格の不安定な状態を改善することです。

 生産者は実需者と直接取引をすることで、収入を安定的に得られます。SCA3P所属農家はこの長期契約により、設備投資、事業拡大、植え替え及び、高収率で耐性のある品種への改良等を長期的視点で行うことが出来るようになります。この長期契約は、伝統的にラバンディン グロッソを栽培してきた地域を中心に230戸の農家が参加するSCA3Pを支援するものです。


天然香料素材を産地から調達するグローバルな取り組み -TaSuKI(たすき)-


 今回のSCA3Pとの長期契約により、当社はラバンディン グロッソ オイルを、売り手と買い手の双方に納得感のある条件で確保することができるようになります。長期的な視点で関係強化を図ることにより、投機的な購買や気候変動による品質・数量の不安定性を抑制することにつながります。更にこのような取り組みは、お取引先からの期待であるトレーサビリティ、サプライチェーンの透明性、倫理的な調達及び、環境にも配慮した事業運営等にも応え得るものともいえます。当社では調達プログラムTaSuKI(たすき:Takasago Global Procurement Sustainability Key Initiatives)の名のもとに、事業戦略上重要な原料を持続可能に調達する方策と、その原産地を支援する取り組みを推進しています。


調合香料と農園を直結させる "責任ある調達"


 TaSuKI(たすき)プログラムの一環として、当社では現地農園と直接取引を行い香料原料を調達しています。例えば、インドネシアで約40年にわたりパチョリオイルの調達・精製事業を行ってきました。2012年には、マダガスカルでバニラビーンズと同エキスの事業を開始しました。昨年にはフロリダでグレープフルーツの植樹支援およびグレープフルーツ精油の長期的調達に関し合意し、契約を締結しています。今回の南仏における重要原料調達の長期的取り組みは、当社のお取引先と、公正で信頼されるパートナーシップを構築するという姿勢を反映しています。
今後、供給の安定化が求められる他の天然香料素材に関しても、同様の或いは個別のアプローチを展開して行く計画です。TaSuKI(たすき)プログラムにより、お取引先及び社会からの要請に、明快で包括的かつ効果的な方策で応えて参ります。

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