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社長メッセージ

トップインタビュー

2022年3月期の事業の状況及び2023年3月期の業績予想についてお聞かせ下さい。

2022年3月期は、経済活動の制限と緩和を繰り返しながらも、新型コロナウィルス感染症の影響が徐々に和らいでまいりました。個人消費や雇用・所得環境はいまだ弱めの動きとなっているものの、企業収益や業況感は全体として持ち直しの動きが鮮明となりました。
このような中、高砂香料グループの売上高は前期比8.0%増、過去最高値となりました。
部門別にみますと、フレーバー部門は日本の飲料向け等が堅調に推移しました。フレグランス部門においては米国子会社において芳香剤向け等が好調に推移しました。アロマイングリディエンツ部門ではスペシャリティ品が好調に推移した他、為替変動の影響も受け増収となりました。ファインケミカル部門が、医薬品中間体が好調に推移しました。
利益面では、営業利益は同40.1%増となり、こちらも過去最高値となりました。
2023年3月期は、資源価格の高騰やサプライチェーンの不安定化の影響が懸念されますが、新型コロナウィルス感染症の経済活動への影響が和らいでいく中で、基調としては回復を続けると想定しております。
2023年3月期の高砂香料グループの売上高は172,500百万円、当期比6.2%増を見込んでおります。継続的に海外での売上高が伸長することに加え、日本でも更に需要が回復してくる見込みです。一方、利益面は、原料費、製造費、物流費等の上昇により減益を予想しております。

 

海外での成長が継続しておりますがその原動力を教えてください。

創業以来積み上げてきた多様な技術群、きめ細やかな営業・マーケティング体制、調達体制、生産体制、品質保証体制、サプライチェーン体制、BCP体制、サステナビリティへの取り組み等が、顧客からの信頼に繋がってきております。このことが国内だけでなく海外の成長に寄与していると考えております。香料事業は何か一つの製品、技術等だけで売上を生み出し続けることができるというものではありません。供給責任を果たす総合的な力を常に磨き続けることが、顧客に当社の香料を選んでいただく唯一の方法だと考えております。
香りの嗜好は各地域で異なりますので、香料事業が本格的に海外進出する際には、現地に営業、研究、製造の人材、機能を揃える必要があります。当社は1960年にニューヨークとパリに進出して以降、一つ一つ現地の顧客を開拓しながら、直接投資を行ってまいりました。粘り強く事業を拡大し、現在では海外売上高がグループ全体売上高の58%を占めるまでに成長しました。
近年の例を挙げると、フレーバー部門のセイボリーカテゴリーで、アフリカ地域のブイヨン向けや、東南アジアの即席麺やスナック菓子向けの注文をいただけるようになって参りました。長年に渡りローカル顧客へのアプローチを続け、徐々に当社の技術力、対応力等が認められてきたことの成果だと考えております。
フレグランス部門ではコロナ禍をきっかけに人々の衛生意識の高まりにより、芳香剤やアロマキャンドル向けのエアケアカテゴリーの売上が伸びました。マルチナショナル顧客には長年に渡り当社の製品を採用いただいており、納入を続ける中で堅実なサプライヤーとして信頼を得るように努力して参りました。コロナ禍の需要増の時期に多くの注文をいただいたのは過去からの信頼の積み重ねの結果だと捉えております。
顧客からの信頼は、一朝一夕に得られるものではありません。今後も継続的に成長し続けるために総合的な力を高めて参ります。

 

2022年4月25日に公表した事業用地の取得について、その背景や目的を教えてください。

当社は、2022年3月30日、中外製薬から神奈川県鎌倉市梶原の土地を購入する不動産売買契約を締結いたしました。これは、現在当社が神奈川県平塚市に有する研究所を同地に移転することを企図して取得したものです。当社は、2025年後半に同地の更地引き渡しを受け、その後研究所を建設し、2028年に移転をする予定です。
当社は創業以来、一貫して研究開発を会社経営の核と位置づけ、培った技術をもとに社会に貢献することを目指して参りました。
昨今は、消費者嗜好の多様化、健康志向の高まり等を受け、香料に求められる役割、香料の果たすべき役割は、ますます拡大してきております。更に、人工知能等のITの著しい進歩、オープンイノベーションの推進等により、研究開発における環境も大きく変化してきております。
このような外部環境の変化に伴い、当社においても研究開発領域は拡大し続けており、新たな研究開発環境が必要と考えました。
現在当社は、世界28の国と地域に事業を展開しており、多くの地域に研究所も有しております。それぞれの地域で得られた技術的知見を日本の本社に集積し、それらを進化発展させ、再びそれぞれの地域で展開していく、この技術の集積・進化・展開が当社の強みの一つでもあります。
グローバル拠点の技術の中心に立つコミュニケーション機能をも強化し、世界中の顧客ニーズに応えることで、更なる成長を目指して参ります。

株主の皆様には、高砂香料グループの更なる発展にご期待いただき、これからも長期的な支援を賜りますようお願い申し上げます。