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Message to Stakeholder

サステナビリティの推進について

 

山形 達哉

常務執行役員 コーポレート本部本部長

高砂香料グループでは、サステナビリティの推進を中期経営計画NGP-1の基本方針に据えています。社会の一員として、社会が直面する課題に対し真摯に向き合い、課題解決に向けた活動を積極的に展開しています。同時に、非財務分野における企業価値の向上も念頭に入れ持続性のある会社経営を目指しています。NGP-1 2年目も世界的な社会的課題への解決に注力し、気候変動、人権への対応を進めました。

地球温暖化による気候変動は様々な影響をもたらします。極端な気象事象(ハリケーン、洪水、干ばつなど)の派生頻度や強度が増加し、海面上昇による沿岸地域の浸水、生体系への影響、農業等への悪影響が挙げられます。高砂香料グループでは、気候変動への適応と緩和を国際的な枠組みを通して進めています。2020年4月にTCFD提言に沿った情報開示を行いグループの方針、戦略を公表しました。その後、2021年5月にSBT認定を受けたGHG排出削減目標を公開しました。昨年は、環境省の支援事業に採択されたことを受け、環境省より委託された専門のコンサルティング会社と約5か月に渡り「スコープ3におけるGHG排出量削減」に向けた取り組みを行いました。この作業を通じて、スコープ3の9割を占める原料調達の削減に向けて調達本部を中心に体系的なアプローチを検討しました。原単位の高い合成原料をサステナブル原料に置き換えること、また主要サプライヤーにLCAの開示要請や排出量削減に向けた協働を開始しました。スコープ1と2についても、本社エネルギー管理委員会の進め方を参考に海外各社へ削減策案のヒヤリングを行い、熱量の大きいエアコン使用、排水処理、生産においては粉末香料の効率的なエネルギー使用などについて改善案を模索しました。エネルギー使用の実態を把握するため適所にモニタリング用のメーターを設置する予定です。また、自社で製造する香料製品のLCAも計算できるようにシステム改修を行っています。環境型商品・プロセスの開発においては、引き続きファインケミカル事業を中心として連続フローを活用したビジネスの拡大、バイオテクノロジーにおいては2016年にグループ化したCIT社も活用し、本社研究所と連携して香料素材の開発に引き続き注力してまいります。

人権は国際法によって保障されていますが、現実には人々の基本的な権利や尊厳が侵害される問題が世界で起こっています。高砂香料グループでは人権を尊重した企業活動を行っています。2019年に「高砂香料グループ人権ポリシー」を策定し、日本弁護士連合会が発行している手引書を参考に人権デューデリジェンスの仕組みを構築しました。その後、多岐にわたる人権問題を整理し『人権に関する重点課題』としてまとめ、「高砂香料グループ人権ポリシー」に付記しました。 同時に、この『人権に関する重点課題』を「高砂香料グループサプライヤー行動規範」にも織り込み、サプライヤー行動規範をお取引き先様とも共有し遵守の要請をしています。原料調達においては、約1,100数社と取引を行っています。お取引先数又その原料の加工地が世界中に広がっていることから全社に対して実際の現場監査をすることは非常に困難です。そこで、倫理監査のプラットホームであるSEDEX を有効に活用して倫理監査を実施しています。このようにして、高砂香料グループの責任ある調達を実現しております。

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Materiality 2022-2023 (JP)

最後になりますが、マテリアリティの改定について触れさせていただきます。マテリアリティについては毎年取締役会で審議を行っていますが、今回はGRIガイドラインの改定を受け、当社グループのマテリアリティを刷新いたしました。改めて我々にとっての価値を見つめ直し、ステークホルダーに対し分かり易く情報が届くようにシンプルに作り直しました。

今回はグローバルな社会的な課題を中心にお話しましたが、サステナビリティの行動計画書である「サステナビリティ2030」にはその他のやるべき重要課題も載せております。こちらはホームページ等でご覧いただければ有難く存じます。当社グループでは引き続きサステナビリティを推進し、持続的な社会の発展に寄与できるよう努めてまいります。今後とも当社グループの活動にご理解、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

*人権デューデリジェンス

人権リスクの抽出から課題への対応、情報開示に至るプロセス