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第69回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC2025)にて口頭発表を行いました

高砂香料工業は、2025年11月1日~4日に、徳島文理大学徳島キャンパスで開催された第69回香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会(TEAC2025)において口頭発表を行いました。

結晶スポンジ法×ヘッドスペース法で挑む天然物中の微量香気成分のハイスループット構造決定

通常、天然物中の香気成分を構造決定する際には目的成分を溶媒などで抽出してから単離精製を行う工程が必要になります。目的成分の含有量が微量である場合には、必要な量を得るために大量の試料と溶媒を使用することもあります。しかし、貴重な天然物に対してそのようなことは行うのは困難です。
そこで、私たちは極微量の試料量で構造決定が可能な結晶スポンジ法と試料を傷つけないヘッドスペース香気成分回収法を組み合わせて、新しい構造決定スキームを開発しました。実際に香気捕集材をバラや蝋梅といった花の近くに置くことで、その花を損傷させることなく香気を捕集材に回収しました。続いて、捕集材に回収した香気成分を加熱脱着により分取ガスクロマトグラフ(GC)に導入し、ターゲット成分を数µg単離しました。最後にその成分の構造を結晶スポンジ法により確認することに成功しました。通常、分取量が数µgしか得られない場合は標品と比較することでしか構造を決定できませんが、結晶スポンジ法はµgオーダーの試料量で直接構造を決定することが可能です。
これにより、天然物を傷つけずに微量回収した香気成分の構造決定を迅速に行う手法を確立しました。この手法を活用すれば、特に貴重な天然物からわずかに得られた香気成分であっても構造決定できる可能性があります。

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