1. 概要
2021年もTakasago Global Procurement Sustainability Key Initiatives, TaSuKIの取り組みにとって新たな実りある年とすることができました。 依然として、サプライチェーンの混乱と深刻な渡航制限などに苦慮している状況ではありますが、現在進めているいくつかの取り組みに関する重要なマイルストーンを設定し、調達活動における新たな有望な機会を見出すこともできました。 これらの成果は、私たちが原産地からの直接の調達を目指す戦略的重要原料のパイプラインとなるものであり、TaSuKIが安定調達、トレーサビリティ向上、サステナビリティの実現に向けた、お客様と消費者の期待に十分に沿った活動であることをご確認いただけるものと考えます。
2. 進行中のプロジェクト
フランスのラバンジングロッソ
向こう10年間の前進的な «農家からフレグランス製品へ»のラバンジングロッソオイルに関する契約 -“TaSuKI Originals, Care and Comply”



ラバンジングロッソオイルの供給に関するフランス農協組織(SCA3P)との持続可能で倫理的な調達契約を結んでから、10年間の契約期間のうちの3年目を迎えました。 今回は最初の振り返りの機会と言えますが、期待を超えた成果が得られたことを嬉しく思っております。
- 予測のできない物流分野における逆風にもかかわらず、契約は完璧に履行され、供給は円滑に実現されました。我々の海外製造拠点への対応も含め、適切な配送が達成され、品質も十分に安定したものでした。
- 最も注目に値する事柄はやはりサステナビリティ分野です。予測した通り、ラバンジングロッソオイルの市場は暴落しました。多くの農家が急騰する生産・運送費用を下回る市場価格で販売せざるをえない状況の中で、合意された価格と購買量に関する責務を全うしました。SCA3Pの農家たちは公平に、市場価格ではなく生産費用と商品価値に見合った価格で、高砂香料グループと取引を行うこととなりました。
この2021-2022年の間に経験したこと、それはこのまま2022-2023年にも続いていくことでもありますが、SCA3Pのような生産者団体との10年間という長期にわたるコストと供給に関する契約は、相互に利益をもたらす事例の良い見本になるということでした。このような取り組みは、通常に行われるような、年次の局所的な価格交渉とは対照的に、サプライヤーである農家たちが昨今の難局を乗り切ることへの手助けとなり、市場が商品不足に陥ったときには当社グループの供給網を支えることとなるでしょう。
フロリダのグレープフルーツ
持続可能なグレープフルーツ: 新たな植樹 -“TaSuKI Originals, Care and Comply”
長期にわたるサステナブル・グレープフルーツ・プロジェクトは引き続き進行中です。2019年に締結された契約について、最初の7年間は植樹の推進が続けられる予定です。この取り組みはシトラス産業との強い関係構築をもたらしています。 2022年までに、計画されたうちの55%以上が果樹園に植樹されました。残る45%は今後の4年間で植樹される予定です。木々は植樹されてから3年程で果実を実らせていくこととなります。この持続可能を目指す植樹の取り組みからグレープフルーツオイルが得られることを期待しており、フレーバー、フレグランスの両分野へのユニークな品質の精油開発に着手していきます。


マダガスカルのバニラ
高砂マダガスカルからのニュース -“TaSuKI Originals, Care and Comply”
2021-2022年は高砂マダガスカルとバニラについて、非常に重要な年となりました。 前回の社会・環境報告書2021で申し上げた通り、マダガスカルのバニラ製品のフェアトレード/有機認証取得に取り組んできました。“TaSuKI Comply”の理念にも沿ったものとして、2021年2月25日に高砂マダガスカルがEcocert※から“Fair For Life”認証を得られたことを喜ばしく思っております。
※ 1991年に設立された、フランスのトゥールーズを本部とする国際有機認証機関。

フランスのラバンジングロッソやフロリダのグレープフルーツのように、お客様や消費者の期待に十分に沿うことができるものとして、この取り組みはサステナビリティに関する目標、特にTaSuKIのスコープとする戦略的重要原料のサプライチェーンにおけるESGの遵守を果たすための重要な一歩であります。
2021年にバニラについて得られた学びをいくつか挙げると、消費者の約73%はバニラ製品が持続可能性をもって調達されるべきという考えに同感しているということ、また、マダガスカルは高品質なバニラ豆の産地であり、世界需要の約80%の供給源となっていること、そして、特に欧州の意見に多いですが、消費者は最も良い品質のバニラはマダガスカル産であると思っていることがわかりました。
2022年に達成したもう一つの重要な活動として、4月4日に高砂香料グループはThe Sustainable Vanilla Initiative (SVI)の正式な会員となりました。

SVIは、バニラ産業で持続可能な生産に従事する企業向けの業界会員フォーラムであり、世界最大のバニラ生産国であるマダガスカルを初期の焦点領域として掲げております。
SVIの目標は:
- 持続可能でありトレーサブルなバニラの供給とその市場を成長させること
- バニラ生産者の収入と生活を維持改善させること
- 極端なバニラの早摘みの事案を減らし、品質を向上させること
- バニラ生産現場における児童労働に関する懸念に対処すること
SVIは現在、大手消費財メーカーや世界の香料会社から国際的なバニラ豆流通業者やバニラエキストラクトの販売組合まで、28の会員が参加しており、世界のバニラ豆購入量の70%以上を占めています。
https://www.idhsustainabletrade.com/sustainable-vanilla-initiative-svi/ から日本語で引用
SVIの優先事項は上記4つの目標達成に貢献することであり、例えば、成功したサプライチェーン・パートナーシップ・プログラムを拡大する、必要に応じて企業主導のプログラムを補完できる非競争分野プログラムに投資する、そしてセクターのガバナンスを改善するなど、企業の活動を支援することと言えます。また、官民の協力の中で働くことができるように、組織立った業界の声と支援をマダガスカルにもたらすこともSVIの優先事項の一つと言えます。
当社グループがSVIのメンバーに加わった理由は、10年にわたるマダガスカルでのバニラの専門知識を共有して、業界のサステナビリティのベストプラクティスに協力することであり、それによりバニラ調達のサステナビリティの課題を前進させるための手助けとして力を合わせることができると考えたからです。