香料素材
乳香(オリバナム)
NP004乳香はカンラン科の乳香樹の樹皮から取れる樹脂。乳香樹はアフリカのエチオピア、アラビアのイエーメン、オマーンなどの痩せた土地に自生しており、樹皮に傷を付けて樹脂を採るが、樹液は始め乳白色の液体で、空気に触れると固化し、淡黄色の涙型の樹脂になる。その先端が女性の乳首によく似ており、乳香と命名された。
新約聖書に、キリストが生誕したとき、東方より3人の博士がやってきて、乳香と没薬と黄金を献上したとあるが、乳香は神、没薬は救世主、黄金は現世の神を表している。乳香は神に捧げる神聖な香りであり、その香りは清々しく、心身が清められる。
没薬(ミルラ)
NP005没薬はカンラン科の没薬樹の樹皮から取れる樹脂。没薬樹は東アフリカのスーダン、ソマリアや南アフリカ、特に紅海沿岸の乾燥した高地に自生する矮小な木で、乳香同様傷を付けた樹皮から樹脂を採る。没薬の香りは乳香に比して刺激が強く、収斂作用があり、防腐剤として古来より珍重されてきた。古代エジプト人がミイラ作りに防腐剤として大量の没薬を使ったことから、ミイラとはミルラから派生した言葉だといわれている。
龍涎香(アンバーグリス)
NP002アンバーグリスは抹香鯨の胃や腸にできる病的結石である。イカを常食とする抹香鯨の体内にイカの嘴が蓄積し、結石となり、胆汁や胃液などでこの不消化物を包み、体外へ排出する。この塊が“灰色の琥珀”アンバーグリスである。長い年月海上を浮遊している間に日光と海水や空気と微生物により異臭が除かれ、黒褐色から灰色の蝋状の塊となり、妙なる芳香を放つ。
中国では龍の涎といわれるほどに珍重され、媚薬として後宮の佳麗たちにはなくてはならないものであった。これの入手に腐心した清朝の宦官は、ポルトガル人に頼みアンバーグリスと交換にマカオを失ったとされている。
現在は合成アンバーが使われている。
麝香(ムスク)
NP001ムスクはチベット、雲南、ネパールなどの山岳地帯に生息している雄の麝香鹿の生殖腺分泌物で、その下腹部にある香のうを切り取って乾燥したもの。この香りは雄の麝香鹿が発情期に雌を誘引するためと縄張りのマーキングのために発するもので、麝という漢字は鹿の放つ香りが矢を射るように遠くまで飛ぶことを表わしており、麝香の香りの強さを示している。
香りの王者といわれるムスクは昔から高貴な神仙薬、媚薬、香料として洋の東西で使われ、そのため年間1万5千頭もの麝香鹿が殺されてきたが、近年、野生動物保護法により捕獲が禁止されている。従って、現在はほとんど合成ムスクでまかなわれている。




