(株)高砂ケミカル 掛川工場は、高砂香料グループの主に合成部門を担う製造拠点です。医薬品の中間原料やプリンターなどに使用される有機電子材料(OPC)を主要製造品目とする同工場では、独自の触媒技術による反応効率の向上に取り組んでおり、工程設計の段階から環境への負荷削減に努めています。使用済みの有機溶媒を回収・再利用し、産業廃棄物の排出抑制を図るとともに、不法投棄廃棄物の回収作業に参加するなど、地域社会に密着した社会貢献活 動も行っています。
エコアクションはまずムダをなくすこと
掛川工場の環境ISO目標には、ユーティリティに使用する電力と、燃料として使用する重油の使用量の節減を最優先事項として掲げ、エネルギー原単位で管理しています。
冷却機(チラー)は氷蓄熱システムを導入し、夜間電力を活用して運転しています。2011年には、大容量モーター仕様の冷却水移送ポンプにインバーターを取りつけました。室内灯には人感センサーを設置、チェック表を活用することにより習慣的な節電を実施しています。
ムダをなくす努力を実行するだけでも相当な省エネになり、同時にCO2排出削減にもつながります。製造・実験に使用するドライアイスも、必要な時に必要な量だけ発注するルールを徹底しました。

冷却機(チラー)には、氷蓄熱システムを導入。夜間電力を活用し、CO2排出量削減に。
技術革新で環境負荷を大きく低減
医薬品中間体や機能性材料といったファインケミカル製品は、しばしば複雑な合成経路となることから、その工程のなかで多量の廃棄物が生成されることがあります。
掛川工場では高砂独自の革新的な技術を環境負荷の低減に役立てています。有機電子材料(OPC)について、従来の製造工程を見直し、有用な物質だけを選択的に合成するための触媒を使用した新しい方法を導入して工程を短縮しました。
それとともに、エネルギー消費量も大幅に削減されました。製造工程で発生する副産物は、従来のリン酸塩から環境に害のない無機塩となっています。
このように、省資源・省エネルギーを実現する技術の革新を通じて生産効率を高め、製造工程で出る副産物(産業廃棄物)を減らしていくことも、化学工業に携わる一員としての責任(レスポンシブル・ケア)だと考えています。

製造工程の改善で、産業廃棄物はリン酸塩から環境に害のない無機塩に。
代替水源の活用で工業用水を安定確保
従来、掛川工場では地下水を汲み上げて使用してきましたが、地下水の持続可能性をふまえ、約2km隔たった大井川水系から工業用水を取水するための大規模な貯水施設を2009年に建設しました。今後も水資源の保全に取り組みながら、工業用水を安定確保していきます。


建設後は、地下水50:大井川水系50の割合で使用。
研究と生産の連携でグリーンケミストリーを推進
ラボから工業化へスケールアップする技術研究室では、開発された製造技術の工業化に向けた実験と試作が検討され、効率的な工程設計がおこなわれています。
高機能なスクラバー導入で大気汚染を抑止
「2008年に、臭気漏洩や有害物質放出の抑制を強化するため、現在稼働している7機のスクラバー脱臭装置のうち、1台を大気汚染原因物質となる窒素酸化物(NOx)も除去する新規スクラバーに切替えました。そのほか、トリクロロシランおよびその分解物・塩化水素の大気への放出を防ぐための専用スクラバーも新設しました」と高葉元茂(環境管理責任者)。
環境活動はできることから順次実施中
2005年にISO14001を取得してからは工場で働く従業員の環境に対する意識が変わりました。「近年は、化審法への対応などコンプライアンスだけでなく、使用済み安全靴を回収会社に引き取ってもらったり、有機溶媒を再使用したりとできる限りのことを実行しています。排水処理能力を2倍に拡充するなど環境に配慮したインフラ投資も順次実施に移しています」と小林和弘(管理部事務管理課主任)。